"接遇・マナー"を超えたおもてなし

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言葉で伝えることはとても大切。

でも、言えばいというものでもなく、

例えば「ありがとうございます」という、日常のあいさつでも、

心に響く「ありがとうございます」もあれば、

素通りしていく「ありがとうございます」もあります。

 

言葉の影響力は、「何を言うか」ではなく、「誰が言うか」による、ということにも通じ、それはつまり、誰=その人の存在が問われるということでしょうか。

不安な気持ちで来院された患者さんが、安心して治療を受けられるのは、スタッフの言葉かけや、気遣いの表現の積み重ねのよるところが大きいと思いますが、

患者さんを安心させることが上手な人には、共通して安定した存在感のようなものを感じます。

 

お互いの存在そのものが影響し合って生まれる感情は、言葉では説明が出来ないコミュニケーションのダイナミズムです。

 

お互いの存在を感じる媒体は、目に見えないものもありますが、目に見えるものが身体です。

私は、コミュニケーションにおいて、自分と自分の身体を切り離さないことがとても大切だと考えています。

 

身体を無視して頑張ってしまうのは、とても辛いことだからです。

 

例えば、緊張時の身体の特徴として、肩が上がって耳に近づき、首が短くなっている状態があります。

 

身体がこのような緊張状態にあると、言葉やしぐさがぎこちなく、どこか不自然に感じられると思います。

 

研修の初めに、体をほぐすストレッチをすると、自分の身体が緊張状態のまま固まっていた、という気付きが得られることがありますが、それは自分の体に無理をさせているだけでなく、相手にも影響するので、頑張っている割にコミュニケーションの成果が上がらないという、残念な結果を引き起こしている可能性もあります。

 

歯科医療の現場では、前途のような患者さんとのコミュニケーションが上手な方でも、正確さが求められる施術時や、知識を総動員してデータと向き合う時の姿は別人のようです。

まるで頭の中は右脳と左脳を行ったり来たりしているような、ふり幅の大きさで、その大きなふり幅によるストレスも少なくないはずです。

 

身体に意識を向け、五感を活用することで、そのような無意識のうちに蓄積しているストレスも軽減できると考えています。


「言い方」や「かたち」をハウツー方式でインプットする方法に比べたら、五感にアクセスしながら、コミュニケーション技術を磨いていく研修方法は、遠回りに感じられるかもしれませんが、きちんと体とつながったパフォーマンスは自然で無理がなく、結果として患者さんが心を開いて、こちらの提案を受け入れてくれることが多くなります。

 

「おもてなし」という言葉に吸引力があり、ホスピタリティの質が問われる今の時代に、

言葉で説得し、納得させ、相手から「YES」を引き出すテクニックには限界があることを感じている方は多いと思います。

 

心地よく相手に届き、相手の心を動かす表現。

それは、かたちだけの接遇・マナーを超えた、本物の「おもてなし」表現だと思うのです。

 

先日の研修では、院長先生とスタッフのリクエストで、「ヨガ・ストレッチ」をしました。(写真はイメージ)

 

いつもと違う、自分の身体に意識を向ける静かな時間を持つことで、コミュニケーションのベースである「感じる力」が蘇ります。


ヨガ 画像.jpgのサムネール画像






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