研修のゴールと成果

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歯科医院でのコミュニケーション研修では、研修後にスタッフの皆さんに、学びを深めるための「振り返りシート」というものを書いてもらっています。

先日そのシートに印象的なものがありました。

 

多くの人が、自分の事しか書かないのが当たり前の振り返りシートに、院長先生や他のメンバーに対する素直な感謝の気持ちが表現されている、温かい文章だと思いました。

 

(以下 前後省略)

「今回の研修のような内容は他の医院で働いていても受けることが出来ない内容でした。今回の研修を受けられたことに、院長先生や、○○先生、○○さん(研修のまとめ役をしてくれたメンバー)をはじめとしたこの環境を作ってくれた方々への感謝を忘れず、次回から実践していきたいです。」

 

「感謝の連鎖」ではないですが、きっとこの方は「相手が嬉しいと思うこと」が自然に出来る素敵な人。普段の仕事ぶりが想像できます。

こちらの医院では、他にも何人かのスタッフが、研修を受けさせてくれた院長先生への感謝の言葉などを書いていました。

院長先生が研修の打ち合わせの時に、「スタッフにはここで働くことで、人間的にも成長してほしいと思っている」と語ってくれたことと、シートに書かれたスタッフの言葉が私の中でつながりました。

 

中の人たち同士の間に、お互いを思いやり感謝する文化が育まれていることで、自然と作られる医院の雰囲気というものがあると思います。

治療室から出てきたときの患者さんの表情とか、待合室で待っているときの患者さんの緊張度合、受付での患者さんの態度など、客観的にみていると、患者さんは医院の雰囲気を敏感に感じて反応しているのが良くわかります。

患者さんに対して、対応がきちんとしていることも大切ですが、それ以前に、中の人がどうつながっていて、どういう気持ちで仕事をしているか。

 

ホームページなどで文字に書かれた医院のコンセプトをアピールしたいならば、具体的にそのコンセプトはスタッフのどのような言葉や行動を通して患者様に伝わるのかを考えると、スタッフにこうなってほしいというのも見えてくるかもしれません。

 

「スタッフの人間的な成長」という院長先生の願いをかたちにした研修であれば、スタッフがもともと持っているやさしい心を開放し、仕事に対する意識が変わるでしょう。

結果として患者様の安心や満足という成果につながります。

 

経営者にとってスタッフ研修は、自分たちの組織を社会の中で魅力的な存在としてプロデュースするという側面もあると考えています。

 

ビジネスのトレンドも、事業目的が社会的に意味を持つ共感性の高いものにシフトしてきているようです。

 

先日の日経新聞のコラムには"「東大、一橋大などを出て、マッキンゼーなど外資系コンサルティング会社で勤務経験のある、いわばビジネス界のつわものといっていい顔ぶれ」が途上国の飢餓解消や、問題を抱えた生徒を指導する教師の支援などに取り組んでいるNPOの団体に、経営幹部として転職に興味を示した"という趣旨のことが書かれていました。

背景には、NPOが「ビジネス界のつわもの」達に前職に劣らない報酬を払えるくらいの利益を出せるようになってきたという事情もあるようです。

 

歯科医院の経営、人材マネジメントも社会の流れと無縁ではないはずです。

経営者である院長先生のスタッフの人間性を育てるという温かいまなざしは、「共感の時代」といわれる今の時代の流れにも後押しされて、結果として経営的にも安定していくでしょう。

ご一緒に明るい歯科界の未来を見たいとおもっています。

 

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