「クライアントの聡明な選択を支援する」お茶目な?!行動経済学の考え方

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「クライアントの聡明な選択を支援する」

プロフェッショナルとして、さわやかで、すがすがしい顧客との向き合い方だとおもいます。

 

行動経済学の概念で、人々に望ましい行動を促す方法のことを「ナッジ」というそうです。

「ナッジ」は2017年のノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学の行動経済学者リチャード・セイラー博士が発明し、博士の考え方が反映されています。

 

私としては、「人は必ずしも合理的な行動をしない」という心理学を織り込んだ行動経済学の前提が、コミュニケーションの現実と共通していて興味深く、経済学が身近に感じられました。

 

「ナッジ」は「肘で軽くつつく」という意味だそうで、親しい間柄で「ナッジ」している場面を想定して、言葉の意味をふくらませてみました。

ナッジしながら、

何か言っていると勝手に想像すると

「ねぇ、ねぇ、こっちがよくない?」で、

ついでに表情も想像すると、

笑顔で目をキラキラ輝かせている。

 

ナッジされた方は、「自分がほんとうに望んでいる方向に合っている」と、腹にストンと落ちる感覚があれば、そこで決められる。

違和感があったら、立ち止まって考えたり、自分で調べたり、自分で決めるための時間が必要かもしれない。

どちらにしても、ナッジ的なアプローチならば、その緩さが相手と自分の間に適度なスペースを保って、積極的な支援というコミュニケーションスタイルに機能してくれる気がします。

 

軽やかに、押し付けがましくなく、お互いに楽しみながら、望む未来が創造できる。

このような経済学のナッジの考え方は、歯科医院でのリアルなコミュニケーションにも求められています。

 

歯科医療もサービス業という前提で、顧客サービスという視点で見たときには、ナッジされなくてもクライアントは自分で自由に選択する、選択の自由という考え方ももちろん正しいと思うのですが、

その商品(あるいはサービス)のプロであるならば、「あえてナッジしてほしい」と私はおもいます。

 

 歯科医院で研修をしていると、

スタッフからクライアントへ「こんな治療や施術の提案をした」という実践事例が共有されます。アクションに対する、フィードバックは解釈も入り様々ですが、

根底に「クライアントの聡明な選択を支援する」というプロフェッショナルとしての矜持があれば、例えその時は相手に受け入れられなくても、清々しいコミュニケーションの印象としてお互いの心に残ります。


そういう支援ができる人は、相手の状況や事情も一生懸命理解しようとするし、今の自分にできることを考え抜いている。そのうえで、最適な提案をしている。

だから、「ナイスナッジ!」なのです。


歯科医療のコミュニケーションにナッジ的な要素を取り入れるとしたら、「真面目さ」と

ナッジのお茶目で軽やかなエッセンスのバランスが課題でしょうか。

 

世の中がどんどん複雑になり、便利なことも多いけれども、よくわからない、例え詳細に説明があったとしても理解しきれなくて、せっかく良いものがあるのに活用できない、そうなると、技術の進化に自分が取り残されていきそうな気がします。

だから、信頼できる専門家にナッジしてもらって、サクサク決めて、前に進みたい時もあります。

 

私自身も、自分がナッジできる分野のことは、遠慮しないでナッジしたいとおもいます。

相手に配慮しつつ、お互いにワクワクしながら。

 

参照

『実践行動経済学』リチャード・セイラー+キャス・サンスティーン=著 遠藤真美=訳 日経BP)

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