コーチング勉強会  〜空気が変わったその瞬間〜

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「コーチング」については、コミュニケーション技法のひとつとしてご存知の方、あるいは実際に臨床現場で活用されている方も多いと思います。(各務 洋子)

日本コーチ協会東京チャプターの勉強会に参加しました。
講師は、株式会社コーチ・トゥエンティワン ディレクターの平野圭子さん。
ロールプレイを通じて、コーチングの醍醐味を実感できた有意義な1日でした。
様々な体験がありましたが、その中で印象的だったロールプレイでの一コマを共有させていただきたいと思います。

コーチングにおけるコーチの役割は、クライアントが目標に向けて何かしら行動が出来るように、会話を通じたコミュニケーションにより支援することです。
コーチによる効果的な質問がクライアントの「気づき」を促し、有効に機能します。

三人一組のロールプレイ。その時の私はオブザーバー役で、目の前で繰り広げられるクライアントとコーチのコーチングセッションを観察見学するという役割でした。

セッション途中、「自分の質問が空周りし、会話が迷走している。」と感じたコーチがクライアントにその由を告げ、立て直しを図ろうとしたところ(あくまでも練習!)、クライアント役の人が一言。
「私に興味を持って質問して。それだけでいいから」

そこから二人の間に流れる空気が、ガラッと変わったのを感じました。

ロールプレイ後のフィードバックでは、この"立て直し"後は、「本当に聞いてもらえている感じがした。」というのがクライアントの感想でした。

会話の中で、「本当に聞いてもらえている感じ」はとても大切です。

コーチングでも、スキルやテクニックばかりに捉われた会話が展開された時は、クライアントが「尋問されている感じ」「聞きだされている感じ」「モノとして扱われている感じ」がするそうです。
クライアントの思考が深堀されることはなく、会話によってより良い方向に前進することは望めません。単なる情報の収集に終わってしまうのです。

歯科医院でも患者様の本当のニーズを探り、治療を通して解決するためのインタビューやカウンセリングといったことが日常的に行われていると思います。

一人ひとりのクライアントに対して真摯に向き合い、興味を持って話を聴く。

マニュアルの質問項目をクリアするといったレベルからワンランク上のパーソナルな対応。

とてもエネルギーを要することですが、クライアントのフィードバックから得られる喜びもまた格別です。それをまた自身のエネルギーとしてクライアントと向き合っていくことが出来たら、歯科医院におけるとても素晴らしいコミュニケーションのサイクルが生まれるのではないでしょうか。

ちなみに私が「その場が動いた」と感じたのは、クライアントの顔と声の表情に明らかな変化を見たからです。

瞳が一回り大きく見開き、生き生きと輝き出します。口角も少し上がります。声のトーンとテンポも上がり抑揚が生まれました。さらに手を使ったジェスチャーも加われば「話したいことが気持ちよく話せているんだな」と分かります。

皆様の歯科医院のクライアントも、ただスタッフに聞かれていることに答えているのではなく、深いところで自分の気持ちを探り、それを言葉にするような会話を体験されているでしょうか。

「よくぞ聞いてくれた!」とばかり、前のめりで目を輝かせてあふれる思いを語るクライアントの姿。

このような医療者側との会話が、クライアントが自身の責任で治療を選択するための第一歩であると考えます。

スキルもテクニックも大切。でももっと大切なことは目の前の相手に本当に興味を持って話を聴くこと。

プロとして活躍されている一流のコーチの方々も大切にしている、コミュニケーションの基本なのでした。

コーチングとは
http://www.coach.or.jp/about/faq.html

日本コーチ協会東京チャプター
http://www.coach-tokyo.org/page1.html

株式会社コーチ・トゥエンティワン
http://www.coach.co.jp




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