なんとも幸せな気持ちで、自分の心が持って行かれた。
あえて言葉にするならば、こんな感じ。
人間国宝の歌舞伎役者、坂東玉三郎の舞台で最後に見たお辞儀がなんとも美しく、大変印象的でした。
それ以来私のヨガのレッスンが、密かに坂東玉三郎さんの佇まいの美しさを目指す修行の時間となりました。
ヨガのポーズをとりながら、玉三郎さんなら・・・とイメージすると、手の指の先から足の指の先まで意識が巡り、傍から見れば全く別物の、自分の世界だけのなりきり坂東玉三郎です。
なりきるだけでも気づけることは毎回小さくたくさんあって面白いのですが、コツコツ数年間続けて、しみじみ思うところがあります。
それは、私が一瞬で心をもっていかれたような、「お辞儀」というシンプルな身体表現も、強い軸と、しなやかな筋肉があって、それらを丁寧に使いこなす意思から生まれている、ということです。
強さがなければあれほどのインパクトをもって伝わってこないし、
真摯に観客に向けられた表現でなければあれほど幸せな気持ちにはならないと思うのです。
坂東玉三郎の公式ホームページには、
「歌舞伎をご覧になるお客様が、(中略)楽しんで戴ければ、それで充分ではないかと思っています。」
と、このように自身の考えが述べられています。
内の強さと、外に向かう関心と配慮、その二つの方向性は、顧客対応におけるホスピタリティの実践において基盤となり、対人コミュニケーションの技術を磨くトレーニングの根幹を成すものです。
玉三郎さんから私が受け取るメッセージは、
「人には言葉に尽くせないものを表現する力があるのだ」というもの。
「言葉に尽くせないものを表現する力」は、人だからこそできる、最強のホスピタリティだとおもいます。
個人におけるホスピタリティの表現は、今の時代、多くの人と共有できる課題だと感じています。
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